HIROSAKI Heritage|建物が語る弘前文化遺産
あおもり創成パートナーズ株式会社
5分でわかる弘前の建築

5分でわかる弘前建築

弘前市は、弘前藩の城下町で、江戸時代を通じて、津軽地域の政治、経済、文化の中心都市として発展してきました。東には八甲田連峰、西に名峰岩木山、南西には世界自然遺産白神山地を擁する自然環境に恵まれた地域です。弘前市の中心には、弘前藩主津軽氏累代の居城である弘前城、33の禅寺が連なる禅林街、最勝院五重塔、伝統的建築物群保存地区である仲町の武家屋敷など江戸時代の街並みをよく残しています。また、旧弘前市立図書館や旧第五十九銀行など明治・大正時代に建築された洋風建築が数多く残ります。さらに、近代建築の巨匠とされる前川國男の建物が8作品所在しています。弘前の歴史的建築物を巡ることは、同時に、本州最北の城下町として独自の風土に根差した特徴的な文化を築き上げた「弘前」の歴史や人々の暮らしを感じとることができる旅となることでしょう。

時代ごとに見る弘前建築

時代 時代背景・主な出来事 主な建築物
江戸時代 1590(天正18)年に、津軽為信が津軽地方の領有を豊臣政権に認められ、その後を継いだ津軽信枚が、1611(慶長16)年に高岡(後の弘前)に、五層の天守を擁する城郭と城下町を建造した。以後、津軽地方の政治・経済・文化の中心として繁栄した。弘前城は6つの郭と3重の堀に土塁、そして本丸の石垣によって構成される。現存する城郭建築は、3棟の櫓と5棟の城門、現存十二天守の一つに数えられる天守などがあり、藩政時代の姿のほぼ全容を残す全国的に見ても稀有な城郭と評価されている。弘前城を中心に城下の要所に配置された寺社仏閣の優品、そして全国的に希少な中下級武士の住宅や商家など、多くの藩政時代の建物が市内各所に残されている。
明治時代 1871(明治4)年の廃藩置県により、最初弘前県、後に青森県となる。1877(明治10)年に弘前の士族宅で西洋りんごが初成り。1878(明治12)年、第五十九国立銀行開業。1889(明治22)年、青森県最初の市制施行。1894(明治27)年に弘前・青森間に鉄道が開通。1895(明治28)年、弘前城を弘前公園として開園。1898(明治31)年陸軍第八師団司令部設置。弘前の明治期は、キリスト教の浸透や学校建築の洋風化、そして陸軍第八師団の施設建造等により、洋風建築が多く建てられた。中でも、弘前藩お抱え大工の家系出身の堀江佐吉が、卓越した構想力と技術で、洋風建築の優品を多く手掛けた。
大正時代 1918(大正7)年に弘前公園で第1回観桜会(現在の弘前さくらまつり)開催。1921(大正10)年官立弘前高等学校が開学。1923(大正12)年に東北初の鉄筋コンクリート造の百貨店「かくは宮川」が土手町に開店。大正期の弘前は、官立弘前高等学校の開学により、軍都と学都という二つの性格を併せもつ、カフェや映画館などが軒を連ねる北東北随一の「ハイカラ」な都市へ成長していった。繫栄する市勢を背景に、醸造業の倉庫や商家などが立ち並び、弘前城南端に接する一等地には、日本商工会議所会頭・藤田謙一の贅を尽くした別邸が築かれた。
昭和時代 1927(昭和2)年、弘前で2番目の鉄筋コンクリート造の建物である弘前無尽社屋(旧弘前無尽社屋(三上ビル))が完成。
戦後は、復興期の経済をりんご産業が支え、昭和30年代に1町11村と合併し、市域が大きく広がった。
1949(昭和24)年に弘前大学が設置されたのをはじめ、現在は高等教育機関を5つ所在するなど、学都として発展している。
1932(昭和7)年、弘前の建築は、一つの画期を迎えた。城下町弘前の武家屋敷が立ち並ぶ在府町の一角に、前川國男の第一作である、白亜のモダニズム建築・木村産業研究所が竣工したのである。以後、弘前は、1983(昭和58)年の弘前市斎場まで、50年以上、8つの作品を通じて建築家・前川國男の人生と伴走することになる。前川の建築思想が深まっていくときや構法が変化していくとき、傍らには必ず弘前での仕事があった。
平成・令和時代

弘前にある68件の指定文化財(建造物のみ)

歴史ある弘前の建築物は、文化財として指定を受けている建築物が数多く存在します。弘前城天守や最勝院五重塔などの重要文化財23件。旧弘前市立図書館などの県重宝16件。旧青森銀行津軽支店など市指定有形文化財14件。スターバックスコーヒーの店舗となっている旧第八師団長官舎など国登録有形文化財15件。さらに弘前市が指定する、趣のある建物38件など、見るべき建築物の多さは、東北随一といえます。

文化財の区分ごとに建築物を見る

弘前建築物の楽しみ方

はじめての弘前建築探訪コース

弘前の建築や文化に興味を持った方にお勧めのコース。1泊2日でゆったりめの見学がベスト。

はじめての弘前建築探訪コース

はじめて弘前の建築物を見学するなら、1泊がおすすめです。弘前公園(弘前城)を周辺の7施設を巡るコースが王道です。弘前市は城下町であり、主要な建築物は弘前城を中心に半径1.5キロ以内に存在します。城郭、洋館、近代建築などSNS映えするスポットが揃っていますので、写真に夢中になりすぎず、時間を決めて巡るといいでしょう。

所要時間 8時間(各日4時間)

施設名 特徴・見どころ 滞在時間
弘前公園(弘前城)ひろさきこうえん 弘前城 お城と桜と松のコントラストが壮観な公園で弘前城天守は現存12天守の1つ。門・櫓なども重要文化財に指定されている。城郭全体が残っており、四季によって別の風景となるため、何度も楽しめる。ガイドの説明を受けると藩政時代の生活が想起される。
弘前城
弘前公園総合情報
120分
最勝院五重塔さいしょういんごじゅうのとう 最勝院五重塔 最勝院五重塔は、弘前城から徒歩10分、金剛山光明寺最勝院内にある五重塔。4代藩主である津軽信政が、寛文7年(1667年)完成させたとされ、国指定重要文化財に指定されており、本州最北端の五重塔である。
最勝院 五重塔
金剛山 最勝院
30分
長勝寺(禅林街)ちょうしょうじ 長勝寺 弘前城の守りを固めるべく、移設された長勝寺。曹洞宗の寺院を集結させ禅林街とした。禅寺33件が並ぶのは全国でも稀。長勝寺は津軽家最初の菩提寺で、日光東照宮と並び称される江戸時代初期の代表的な建造物。本堂・庫裏、三門、御影堂はすべて重要文化財に指定されている。
長勝寺
30分
弘前市民会館ひろさきしみんかいかん 弘前市民会館 近代建築の巨匠前川國男の作品の1つでコンクリート打ち放しの建物は無機質に見えるが、表情は豊かで前川の意思を感じる。弘前公園内には弘前市博物館、緑の相談所と3つの前川建築が存在する。前川國男作品7つを巡るのも人気。
弘前市民会館
30分
藤田記念庭園ふじたきねんていえん 藤田記念庭園 藤田記念庭園は実業家・日本商工会議所の会頭を務めた藤田謙一の別邸。洋館・和館・別邸倉庫と庭園があり岩木山を眺望できる。洋館は国の重要文化財に指定されている。弘前城の近くであることを意識した風格ある門構えとは対照的に、大正ロマンを感じさせる施設です。大正浪漫喫茶室、クラフト&和カフェ匠館など一息つける空間として親しまれている。
藤田記念庭園
30分
旧第五十九銀行きゅうだいごじゅうくぎんこう 旧第五十九銀行 第五十九銀行の建物で、堀江佐吉の最高傑作といわれ国の重要文化財に指定。外観はルネサンス風の意匠を基本とする一方、内部は格天井に金唐革紙が使われるなど、和洋折衷手法に優れた堀江佐吉のセンスと技量が感じられる。シンメトリーな外観が写真映えする建物。
旧第五十九銀行
15分
弘前れんが倉庫美術館ひろさきれんがそうこびじゅつかん 弘前れんが倉庫美術館 明治・大正期に酒造工場として建設され近代産業遺産として弘前の風景を作ってきた吉野町煉瓦倉庫を「記憶の継承」をコンセプトに改修した美術館。2021年フランス国外建築賞のグランプリを獲得した。美術館入口には弘前出身のアーティスト奈良美智の犬のオブジェがあり、カフェ&レストランBRICKも併設しアート空間を楽しめる。毎月第三土曜は「建築ガイドツアー」を開催している。
弘前れんが倉庫美術館
45分
移動時間合計 90分
休憩時間合計 90分
見学時間合計 480分(8時間)

この7施設はとてもめぐりやすいです。徒歩、自転車、バス、タクシーなどの選択が可能です。

徒歩

総移動距離は8キロ。2日間で7施設を徒歩でめぐると、運動にもなりますが、それ以上に徒歩でしか気づかない街並みや商店、町名の由来などを知ることができます。

自転車

弘前ではサイクルネットというレンタルサイクルを無料で利用することができます。自転車は弘前の主要な観光拠点に設置されています。半径1.5キロなので、自転車での移動はかなりの時間短縮になります。
サイクルネット弘前

バス(100円バス)

弘前市内には弘前駅から弘前公園周辺を循環する100円バスがあります。お手軽料金で観光施設間を移動することができるため、歩くのが苦手な方におすすめです。

3時間で楽しむ弘前建築探訪コース

時間が少ない方はこれでしかない。弘前の建築や文化をさらりと見学可能なコース。

3時間で楽しむ弘前建築探訪コース

弘前の中心は、弘前城であり弘前公園です。弘前公園の周辺には、重要な建築物が集中しています。スマホでSNS用の写真を撮影しながら、3時間で弘前公園と周辺施設を流し見できます。

所要時間 3時間

施設名 特徴・見どころ 滞在時間
弘前市観光館ひろさきしかんこうかん 弘前公園の追手門前にある観光の総合施設。観光館には多くのパンフレット類が配置。次回の本格的観光のための情報収集。施設周辺には、旧弘前市立図書館、旧東奥義塾外人教師館、ミニチェア建造物の見学可能。お土産を購入するなら最後の訪問が良い。 約30分
弘前公園(弘前城)ひろさきこうえん 弘前城 時間短縮のため天守・門・櫓を中心に城郭全体と見学。追手門口から入り、南内門を通って弘前城天守へ。武徳殿を経由して西堀。弘前市博物館を見ながら弘前市民会館へ。
弘前城
約60分
弘前市民会館ひろさきしみんかいかん 弘前市民会館 前川建築らしいコンクリート打ち放しの外観を、ホール内のシャンデリア、ステンドグラスを見学。大ホールの緞帳は棟方志功の作品。市民会館口より園外へ。
弘前市民会館
約15分
藤田記念庭園ふじたきねんていえん 藤田記念庭園 市民会館口の向かいの冠木門及び両袖番屋は弘前城に合わせた門構え。約6,600坪の庭園は東北屈指で、岩木山を眺望できる。洋館、和館、倉庫(匠館)で大正ロマンを感じる。
藤田記念庭園
約30分
旧第五十九銀行きゅうだいごじゅうくぎんこう 旧第五十九銀行 和洋折衷手法に優れた堀江佐吉のセンスと技量が感じる施設。シンメントリーな外観が写真映えするので、向かいの市民中央広場からの写真を撮影。
旧第五十九銀行
約15分
移動時間合計 30分
見学時間合計 180分(3時間)

さらにマニアックな建築物を訪ねる

「弘前で見るべき100の建物」は弘前の建築遺産を網羅しています。時代・ジャンル・指定・写真から、気に入った建物を見つけて探訪してみましょう。

弘前で見るべき100の建物

弘前の建築を凝縮した「ミニチュア建造物」

弘前観光館のある追手門広場内に、明治から大正期に弘前市内に実存した建造物が、10分の1の模型で展示されています。旧弘前市役所や弘前公会堂などの公共建造物や商家など14棟を再現しており、隣接する実物の洋館との大きさの比較も楽しめるほか、ミニチュアを利用して、巨人風の写真などSNS映え確定です。

ミニチュア建造物
施設名 ミニチュア建造物
管理者 (公社)弘前観光コンベンション協会
住所 弘前市下白銀町2-1 追手門広場内
電話番号 0172-37-5501
料金 無料
営業時間 常時見学可能
冬季7:00~18:00

現存している建造物のミニチュア

ミニチュア建造物 旧第五十九銀行

旧第五十九銀行
明治37年

ミニチュア建造物 旧弘前市立図書館

旧弘前市立図書館
明治39年

ミニチュア建造物 日本基督教団弘前教会堂

日本基督教団弘前教会堂
明治39年

ミニチュア建造物 旧弘前楷行社

旧弘前楷行社
明治40年

ミニチュア建造物 弘前昇天教会聖堂

弘前昇天教会聖堂
大正10年

現存していない建造物のミニチュア

ミニチュア建造物 角弘金物店

角弘金物店
明治16年

ミニチュア建造物 菊池薬局

菊池薬局
明治22年

ミニチュア建造物 「角み」呉服店

「角み」呉服店
明治26年

ミニチュア建造物 旧弘前市役所

旧弘前市役所
明治25年

ミニチュア建造物 旧弘前郵便局

旧弘前郵便局
明治35年

ミニチュア建造物 慈善館

慈善館
大正3年

ミニチュア建造物 かくは宮川デパート

かくは宮川デパート
大正12年

ミニチュア建造物 旧制弘前高校講堂

旧制弘高講堂
大正12年

ミニチュア建造物 弘前市公会堂

弘前市公会堂
大正12年

あなただけの特別な弘前建築遺産を巡る旅

当サイト「Hirosaki Heritage」弘前の建築遺産では、通常は見学不可の建築物や、数年、数十年に一度しか開扉しない建築物を特別に観覧できる企画を検討しています。寺社の住職や、歴史家などによる、普段は聞けない歴史・物語・由来を語っていただきます。
ありきたりな旅、物見遊山な旅では物足りない皆様へ「Hirosaki Heritage」プライベート企画をお届けします。
(令和5年度実施予定)

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