HIROSAKI Heritage|建物が語る弘前文化遺産
あおもり創成パートナーズ株式会社
弘前市立病院

ひろさきしりつびょういん 弘前市立病院

前川國男カテゴリー / 昭和 1971年

弘前市立病院は、昭和46年(1971年)に前川國男が手掛けた建物である。昭和44年(1969年)に全焼した旧弘前市立津軽病院の早急の復興のため、弘前市民の総合病院や健康センターとしての医療施設として計画された。

弘前の市民団体「前川國男の建設を大切にする会」のホームページによると、コンクリート打ち放しの外壁を、木板の型枠のあとが味わい深くしている。特に、現在は増床のため手術棟になり目立たないが、竣工当時の正面入口の外壁のコンクリートのはつりは、今では珍しい手仕事によるものだという。また、陸屋根を持ち、現在は使われていないが、リハビリのための屋上庭園もつくられている。病棟の中心部にはディルームと呼ばれる生活空間部を設けていることから、当時としては珍しい患者の視点にたった配慮がうかがえる。窓は、壁面よりも奥に配置するなど、フラットルーフにこだわりながらも弘前の気候風土にあわせた建築としたものである。

現在の弘前市立病院は、度重なる改修増築により、外観は大きく変ったが、内部では、1階の外来患者が集まる明るく開放感のある吹き抜けホールは、建築当初から患者の不安を和らげてきた。現在は定期的な音楽会などが開催され、患者の心のホスピタリティ空間として機能している。弘前市立病院は令和4年(2022年)3月18日の外来診療を最後に、実質的に閉院、同年4月1日からは国立病院機構が運営する新中核病院に統合となることが決まっている。旧市立病院となる建物は、今後貴重な財産として有効活用される方向で検討されている。

見どころ

外観は当初のかたちから大きく変化しましたが、吹き抜けホールのたたずまいは、いわゆる前川らしい空間となっています。

基本情報

住所 青森県弘前市大町3-8-1 地図
見学の際の注意事項 外観のみ
交通 【バス】
JR弘前駅より弘南バス 土手町循環100円バス「市役所前」下車 徒歩約1分
関連リンク