HIROSAKI Heritage|建物が語る弘前文化遺産
あおもり創成パートナーズ株式会社
弘前市庁舎本館

ひろさきしちょうしゃほんかん 弘前市庁舎本館

弘前市庁舎本館は、昭和33年(1958年)に建築、昭和49年(1974年)に改修された鉄筋コンクリート造4階建の建物である。前川國男が弘前市内で手がけた三作目の建物である。

目の前に立つ追手門と意匠的な協調を図ろうと、水平線を協調してモダニズム建築の特徴を示し、人体の骨格に相当する柱や梁は、力強さを表現できるコンクリートがよいとし、鉄筋コンクリート打ち放しの柱と二層の大庇を廻らせて、明快で骨太な構成となっている。それまでの前川の建築に見られなかった、大庇と呼ばれる深い軒を用いる手法は、東京文化会館をはじめとする後の建物に引き継がれ、外壁のレンガ・ブロックは、「打ち込みタイル」と呼ばれる前川独自の構法へつながっていった。外壁には、明るいオレンジ色の焼成ブロックを積み、色調にコントラストを与える。余計なものをそぎ落とし軽量化を図る、という従来の前川の思想からは導き出されることのない造形であり、積雪量が多く厳しい弘前の気候風土に適合する建築のあり方を試みようとする前川の建築思想の深化がうかがえる。

庁舎玄関の天井を印象的な群青色にしたのは、前川によると、「群青色は日本の夜明けの色」であり、市民が風格ある外観の建物でも気軽に出入りしやすいよう配慮したという。階段室の壁面には赤色が塗られているが、前川によると「赤は人を楽しく高揚させる色」だという。竣工当時から変わらない緑色の壁面も特徴的である。

さくらまつり期間中には市庁舎の本館屋上から、弘前公園と岩木山が一望できる。 昭和47年(1972年)には打ち込みタイルの新館が建てられ、平成28年(2016年)に新庁舎が完成した。本館は、平成29年(2017年)10月には、改修工事が完了した。平成27年(2015年)8月4日に国の登録有形文化財となっている。さらに、平成26年(2014年)2月28日には、弘前市の魅力的な景観づくりを目的として景観重要建造物に指定されており、平成31年(2019年)4月1日には弘前さくらまつりや弘前ねぷたまつりに見る歴史的風致の維持を目的として歴史的風致形成建造物に指定されている。

見どころ

前川と弘前市とのはじめての仕事が、弘前市庁舎本館です。正面の大庇も特徴的ですが、新庁舎建設時に撤去された大屋根も、シンボリックで好きでした。

基本情報

区分 歴史的風致形成建造物、登録有形文化財
住所 青森県弘前市上白銀町1-1 地図
営業/休業 土日休館
営業時間 8:30~17:00
料金 無料
交通 【バス】
JR弘前駅より弘南バス 土手町循環100円バス「市役所前」下車 徒歩約1分
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